山陽立地・つれづれDEEP

10年にわたって書き散らかした事々を、この際一か所にまとめた

土壇場の判断

一昨日の山陽電車高砂荒井駅手前、神鋼前踏切での脱線事故。当初は何が起こったのか分からぬ状況ながら、新浜町辺りに再々工場用地を探しに行く途中のこの踏切に対しては、やはりやったかとの直感があった。
明姫幹線を降りた大型車両が、この踏切を渡った先の工場群を目指して続々南下し、この踏切の南行き3車線を占領する。
おまけに山電に添っての前面道路は西行き一通。となれば、北行きはわずか1車線でたちまち信号が待ち受ける。遮断機と信号停止線の間は15メートル有るか無いか。そう、事故は起こるべきして起こった。周辺住民もこれまで度々危ない状況を目撃している。
そんな状況下、県警は事故車の所有会社にガサ入れとの記事を目にする。ガサを入れる先を間違ってんじゃないのか。
危険極まりない踏切を放置した山電と道路行政に責任があるはず。
ところで、事故がこの程度で済んだ幸運を喜ぶ前に、当のトラック運転手のその時の心理判断がきになる。
車陸送車はそれでなくとも長いボディで、渡る踏切の先の信号までの短い距離を見切って、なおかつ前の車が信号が変わり前進する予想で乗り入れた。
ところが、都合悪く前の車は十分な一旦停止を履行。ために車尾が踏切内に残り、遮断機がレイルステップの内側に降りてしまった。
瞬間、信号は変わらず、進退極まって最悪の判断に走った。
レイルステップを下して遮断機を潜ろうとした。ところがレイルステップの折り白がかなりあって、逆に線路内にステップ自体が残ってしまった。
結果は左前の車輪がステップに乗り上げて脱線横転となった。荒井駅上りホームの突端にもろぶつかってかろうじて停車。乗客の少なかったことと、奇跡的な幸運が幸いして、JR尼崎の再現だけは防げた。あくまで幸運の一言に尽きる。
この時、陸送車運転手が踏切内からの脱出を最優先に考えて、ステップレールに遮断機を巻き込んだまま、前の車を押し出す方法を採っておれば事故は確実に防げた。古来、斬首に処される際、首を差し出す際、ちょうど落とされた首がすっぽり入る穴があって、その際に跪く切所、これすなわち土壇場。
この土壇場での瞬間の判断ほど難しいものは無かろう。私もこんな時の判断ミスを悔やんで臍を噛むこと2度3度。
この際、責められるべきは運転者に非常の判断行動を強いることのない踏切・道路管理を怠った当局であって、間違っても山電側が賠償他の請求に及ぶべきではありません。