山陽立地・つれづれDEEP

10年にわたって書き散らかした事々を、この際一か所にまとめた

日露戦争ー経済戦争・高橋是清③

是清が晩餐会に招待されたた席の隣にヤコブ・シフという人物が座った。食事中シフ氏はしきりに日本の経済状態、生産状態、開戦後の人民の士気等について細かく質問した。是清も懸命にそれに答える。その翌日、バーズ銀行のシャンドが訪ねてきて「シフ氏が、今回の日本公債残額の500万ポンドを自分が引受米国で発行したいが貴君のご意見を問う」との要請を伝えた。是清思わず「これ天佑也」と驚き喜んだ。
かくして、日本政府の希望どうりの1000万ポンドの公債を売り切ることに成功した。
当初、このシフ氏のこの申し入れが何故のものか分らなかったが、やがてロシアで長年続いていたユダヤ人迫害が原因であることが判明。
シフ氏は出来ることなら日本に勝ってほしいと思い、それがだめでも戦争が長引けばきっとロシアに政変が起るに違いないと予測していた。
その根拠として、日本の兵は非常に訓練が行き届いて強いことから、戦費にさえ行きずまらなっかったら決して簡単に負けるこはないだろう。さすれば、少なくとも戦は長引き、ロシアの政情も変化をもたらし、ユダヤ人の同族は今の虐政から救われることになるとの見通し。これこそがシフ氏の本心。そしてこの希望的予測は的中した。