山陽立地・つれづれDEEP

10年にわたって書き散らかした事々を、この際一か所にまとめた

バイロイト祝祭劇場

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バイロイト音楽祭の生中継を見ている。幕間一時間の暗転作業まで見せている。
さて、再開を告げるファンファーレが鳴り響く。意外と簡単なんだ。然し期待を高まらせるには充分だ。
このバイロイトの地にワグナーが自分の楽劇上演のみを目的として建設したのがバイロイト祝祭劇場
その為、この劇場での上演演目は「さまよえるオランダ人」(1842)から「パルジファル」(1882)に至る僅か10演目となっている。
金髪碧眼のアングロサクソン優秀民族を理想としてヨーロッパを惨禍に巻き込んだヒットラーの宣伝に利用された悲しい過去があるものの、いまなお世界中から人々がバイロイト目指して参集している。
我々ラッパ吹きにとってワグナーほど金管を鳴らす作曲家を知らないことから、マイスタージンガーのテーマに象徴されるファンファーレを一度は聴きたいものだと永年思い続けてきた。
ところで、この祝祭劇場のオーケストラピットが少々変わっている。
断面図にある様に、ステージから客席に向かって、地下に潜り込むように設えてあり、打楽器・金管は奈落の底当たりに配置されている。この位置で吹けば、ファンファーレも地底から湧きでてくるような響きとなる。
通常聞いているワグナー曲の真正面から音をぶつけるような感じではありません。
実は、ワグナーは作曲に当たってこの劇場での演奏を考えていろんな工夫・効果を施していたのではないのかな。そうでなければあの執拗な通奏低音のテーマの繰り返し。そこまでしなくてもと感じる音の積み重ね等。
実際、観る方から言えば、オーケストラの姿が見えない分、劇に集中でき、おまけに湧きでるような演奏は、歌い手を包み込み、なお際立たせる不思議な効果を表している。
素人考えながら、そうなれば平場ステージでのワグナー演奏に当たっては、余程この事を考えて、金管の鳴りを抑えるようにしないと本来のワグナーを損じることになりはしないか。・・・愚考
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