山陽立地・つれづれDEEP

10年にわたって書き散らかした事々を、この際一か所にまとめた

そうだったんだ・リオのファべーラ

ブラジル紀行もやっとのことリオに辿り着き、いよいよリオの街・観光の報告をと考えていた昨夜。NHK・BSの世界のドキュメンタリー・シリーズ・ブラジルの悪魔が踊る街・リオー終わらぬ麻薬取引を観て腰を抜かした。リオに着いてコカパバーナ海岸に面したホテル・ウインザー・ミラマーへと急ぐ車窓から見える延々と山頂まで伸びるスラム・ブラジルではファべーラを舞台にした警察と麻薬ギャング団との日々の戦いをドキュメントしたものだった。
リオの市街の3分の一を占めるファべーラは完全な無法地帯で麻薬密売ギャングがその縄張りをめぐり抗争を繰り返している。ガイドさんからは、間違ってもファべーラへ行ってはいけないと何度も注意があって、その理由が、一般住民が危害を加えることは無いが、ギャングの争いで、流れ弾に当たることが心配とのことだった。その時は何を大袈裟なと聞きながら、しかし、その言葉を守って単独行動でスラムに近づくことはなかった。
ただ、サッカーリーグ1部のフルミネンセVSガスコ戦を観に行ったスタジアムがこのファべーラのど真ん中に在ったことから、其の行き帰りに雰囲気を充分感じることが出来た。確かに貧しい家々が立ち並び、ガス・電気・水道はてんで勝手に引きこんで無料とかで、家族が増えると2階・3階と増築していくそうで、住人がサッカー観客を相手に路地裏まで利用して、ビールからサンドイッチ・ホットドッグからを売っている。スタジアムに入ればビール3倍の値段になるとあって、沢山買い込んでいる客も見受けた。
そのファべーラなる無法地帯に警察の手入れが有って、その理由がリンチで殺された売人の捜索だとか。戦車なみの装甲車が繰り出し、警官も軍隊並みの重装備で捜索に入るが、なんとその地区に警官が入るのは1年ぶりなんだとか。リオ全体では年間この手の捜査で1000人のギャングが射殺されている。その麻薬密売団のボス・スパイダーマンが「ファべーラの子供達の将来を憂いながも、行政からの補助や教育の機会がないこの地区では麻薬取引のほかに住民を食わしてゆく手立てはないと、自らの行為の正当性を語る。・・・エンデイングはこのスパイダーマンが警官との銃撃戦で射殺された場面だった。
こんな危ない所に行っていたんだと言う驚きと、そうと知っていればもう少し違った見方も出来たのではとの思いも湧いて来た。普通に住民・子供達が行き交っている路地で突如として銃撃戦が始まる。そう云えばレンガ積みの建物の壁にそれらしき跡が見受けられたような。・・・