山陽立地・つれづれDEEP

10年にわたって書き散らかした事々を、この際一か所にまとめた

目指すはジンタか

遠い春を迎えた東北の田園地帯に、おかしくもちょっと悲しげなジンタの音が響き渡る。
「ジンタ」とは、明治、大正時代の軍楽隊から始まった日本独特の吹奏楽の俗称。かつてはサーカスや無声映画の伴奏として演奏され、また、後のチンドン屋の源流ともなった。そのジンタを今も演奏し続けている唯一の農民楽隊が宮城県石巻市の北村大沢地区にある。その名もずばり「北村大沢楽隊」。70代から80代の“ジイさま”達5人が楽隊メンバーだ。
楽隊が結成されたのは大正14年。楽隊の歳月は日本の激動の時代と重なる。戦争と敗戦、高度成長、過疎化、高齢化、米作りと農村の崩壊・・・そして低成長時代。そんな中を、北村大沢楽隊の老楽士たちはジンタを響かせながら生きてきた。
楽隊結成85年目の2010年春、田植えが始まり、一面緑のじゅうたんに変わるころ、ジイさま達の出番がやってくる。小学校の運動会、お祭りに、結婚式、ときに葬式。春から夏、そして収穫の秋まで、ジンタの響きとともに、高齢化なんてナンノソノ!入れ歯をモグモグさせながら、小粋に老いを楽しむ農民楽隊のジイさまたちのおかしくもたおやかな日々。

以上は日本の最後のジンタである北村大沢楽隊のNHK教育TVの番組の紹介文です。
天然の美に代表される懐かしくも哀愁のある音色を奏でるバンド。このバンドには楽譜はありません。すべて口伝え・音伝えに教えられ伝えられてきました。演奏そのものは恐ろしく稚拙で、多分吹奏も我流に近いもの。しかし、不思議とそれらの事を越えた何か心躍るときめきをさえ感じさせる。
曲目にはレファラと題するものもあり、我々も行進曲「若き日の歓び]をドッソと言い伝えています。最年長85歳のクラ担当のじい様が入れ歯にタフデントを塗り込んで舞台へと向かう姿に感動。