山陽立地・つれづれDEEP

10年にわたって書き散らかした事々を、この際一か所にまとめた

津波てんでんこ(てんでんばらばらに逃げる)

市井の津波研究家である山下文男さん(87)は自身が入院先の病院で被災した。病院は海岸から2キロ離れていて、病室は4階で地上から10メートル以上。山下さんの研究知識からすると波が来てもここなら大丈夫。むしろ津波の研究家として現場で見届けてやる位のつもりでベッドから海の方向を眺めていたそうな。ところが波は一気に3階まで押し寄せてきた。第2波では病室の窓ガラスを破って自身が流されそうになった。かろうじてカーテンにしがみついて強烈な引き波に耐え抜いた。
助けに来た病院職員に抱きかかえられて屋上に避難。翌朝に自衛隊のヘリコプター救出された。
三陸町出身で1933年の昭和三陸津波を体験。1896年の明治三陸津波では祖母を失っていて独学で津波の歴史を学んできた。定年後は専ら講演や著作を通じて防災教育の大切さを訴えてきた。
そんな山下さんが今回つくづく「津波を軽視していたと言われても仕方が無い。おごりがあった。」と恥じる。堤防の無力さを痛感。昔からの言い伝えのように「てんでんこ」に真っ先に逃げるべきだと言いきった。『津波てんでんこ』を第一に、防災教育を一から改めてほしいと声を振り絞っている。