山陽立地・つれづれDEEP

10年にわたって書き散らかした事々を、この際一か所にまとめた

強欲資本主義のなれの果て

今だから言えるんだけど、神戸商大に拘って関西学院の商・経済合格を蹴ってまで2浪を重ねたのは何故だったか未だに分からない。結果、地域に根付いた単科大学の同窓の濃密な関係に救われて今日が有ることから、オーライ・正解といっていいんだろう。さて、現役の際の受験に際して、親父がかなり暗躍して、T教授とH教授に宜しくと挨拶をしていたらしい。それがどれ程効果が有るのかは分からないが、親父曰く、当落の線上で教授の知っている名前が有ればその時は救い上げて下さると、涙ぐましい親心だった。
そうとは知らないご本人は見事不合格となるんだが、なんとT教授は律儀にも合格発表の前に不合格を知らせて下すった。
その年、関西学院商学部に合格していたが、再度チャレンジとか言っちゃって浪人暮らしを始める。そのときの予備校がかの有名な大道学園で、ここへの入学試験が関学より難しかった。
確か兵庫日産の社長さんの伝手で裏口入園した筈だ。
そして2回目の受験、振り返れば2浪の間、大道に通ったのは夏休みまで。あとは家でゴロゴロしているか、2年目などはほとんど新規開店した喫茶ブラジルのお手伝い。
そんなことでは受かる筈もなく、結果は分かっていたがT教授がまたも連絡を下すった。「今年もダメなようですよ、この成績ではあきらめた方が良くはないか」と。
ここまで気を配って下すったT教授には3回目の受験で、驚くべしまたも電話を頂いた「合格です」。
ほとほと疲れ切っていた小生はその言葉を確かめるべく合格発表が記載されているはずの神戸新聞朝刊を寝ずに待って、紙面に氏名を確かめてやっと合格の実感を覚えた思い出。

T教授の専門だった経済学について書こうとして、思わず青春の懺悔になっちゃった。
そのT教授は教えとして不思議な事を仰った。騎士道資本主義の勧めとやら。
即ち、経済活動において儲けはそこそこに、騎士道の精神を持って相手を尊重し、矜持を忘れず、社会貢献を心がけよといった趣旨。(うろ覚えですみません。T教授の科目は講義に出席せずに優を貰っちゃった。)
もちろん騎士道を武士道と言い換えても間違ってはいない。

その言葉を最近ちょくちょく思い出す。一時代海賊的貿易・大航海には強欲国家資本が世界を席巻。その富をイギリス・スペイン・ポルトガルなどが独り占めし帝国の強大を競った。
その結果、未開地とやらが列強の植民地とされ、恒久的に生き血をすすられる体制が続いた。
かくして富栄えたヨーロッパ・EU連合諸国が、今やソブリンマターで青息吐息。国債の暴落まじかの観測がささやかれている。
この構図は一体なんだろうと考えたときに気づくのが、戦争の形態の変化でしょう。米国9.11の代表されるテロは最早テロとは言えず、完全に戦争そのもの。そして米国が相手にしているの敵対国家ではなく、世界に広がるテロ集団。
正に戦争が非対称の時代に突入だ。

真珠湾攻撃に端を発する太平洋戦争は、日本が米国の罠に嵌った一面もあるが、米国はリメンバーパールハーバーとばかりに国を挙げての対日戦キャンペーンを張り国同士の激突となった。
ところが、現代では倒すべき敵の姿が確定出来ない。国境の向こうに敵はいるわけでなく、善良な隣人の顔をして身近に潜んでいる。

この状況が近来の国際金融にも当てはまっているんじゃなかろうか。
いまや、国が食いものにされている。金融の世界で言えば、株であろうと、国債であろうと、値上がりだけを待つ必要は全くなくて、株価・国債利息の乱高下が有りさえすれば、ヘッジのなんのと儲けるチャンスに事欠かない。
特に今まで搾取側だった西欧諸国がこの事態に右往左往している。初めて搾取される痛みを感じている最中だ。

要は、この強欲資本への国際的金融ルールを確立しなければ、この事態は収まらない。今までの国家単位での奔放な財政支出の無駄のつけを何とか凌いでも。
その誕生の母体となったピュウリタニズム、世俗内的禁欲などすっかり忘れた資本主義の精神に騎士道的・武士道的振る舞いを思い出させるのは、もちろん至難の業だが。