山陽立地・つれづれDEEP

10年にわたって書き散らかした事々を、この際一か所にまとめた

原爆調査報告書

 米国の公文書開示により、次々と戦争に関するアーカイブ文書が明らかになっている。
その中でも陸軍医療部による原爆調査報告書の存在が初めて明らかにされた。
広島原爆投下の2日後から、日本陸軍医療部は宇品分院に本拠を置き、原爆による被害を詳細に調査しだした。
当初は原子爆弾であることも分からぬまま、その後明らかになった入市被爆のことも知らず、医者、学舎の多くを動員して調査した。
あの悲惨な状況下、全ての物資が不足している中、勿論医薬品があろうはずもない中、専ら調査・観察しか出来ることはなかった。
さて問題はその後のことであります。私は度々忘却民族・日本のことを口を酸っぱくして述べてきました。
ところが、この原爆被害調査は珍しく詳細に、克明に被害状況を調べ何かに役立てようとしたわけだ。
そしてその調査報告を差し出した先が、なんとGHQ・アシュレーオーターソン大佐へだった。
人類史上初めての2種の原爆(ウラン型・プルトニュム型)を投下したアメリカ軍の関心は、その甚大な効果を確かめることにあったのは当然だ。
マッカーサー進駐と同時に原爆効果調査が開始され大佐がその長となった。
そのもとに、投下後僅か2日目からの詳細な調査研究結果が届けられた。
多分大佐もその段取りの良さにひっくり返るほど驚き喜んだことだろう。
おまけに、死者の詳細な解剖結果まで含まれている。おそろしい放射能の症状が明らかに記されていた。
爆心地からの距離に従った死亡曲線(主にいたいけない小学生を対象に生存率、いや殺傷率を割り出した)はその後、戦略爆撃の第一級参考資料となり、モスクワを殲滅するためには広島級原爆が6個必要とまで割り出している。
問題は、この詳細な調査の可否を言っているのではない。
かの陸軍医療部が逸早く調査結果を米軍に提出することで行った取引があったのではないかということ。
医療部が属する医科学分野の軍部関連にはおぞましい人体実験(マルタ)で名を馳せた731部隊他、人道に外れた行為を実践した恥部があり、之が明らかになれば国際的批判はもとより、戦争犯罪の一等として裁かれることになるのは必定。そこで、米軍がこれからの世界戦略に喉から手が出るほど欲しい原爆調査結果を自主提供すると同時に、’731部隊他が蓄積した生化学武器の実験結果、生体解剖に及んだ資料などと引き換えに、その事実を闇に葬った。
事実、これらの部隊に関わったとされる医療関係者が何の咎も受けず、戦後何食わぬ顔で設立したのがミドリ十字
後に薬害エイズ被害を引き起こすことになる。その体質がそのまま受け継がれ多大な被害を及ぼした。
つくずく考える。このような亡国の所業が見過ごされてきたこの国はいったい何なんだということ。
そして、同じくその受け継がれた体質・DNAがきっと同じような所業を秘かに今も行っているのではないのかという予感がしてならない。