山陽立地・つれづれDEEP

10年にわたって書き散らかした事々を、この際一か所にまとめた

コルコバードの丘

かの十字架像で有名なコルコバード山頂へは登山電車を利用する。わりと早目の時間だったからか、麓のケーブルカー乗り場は空いていた。
コルコバード(Corcovado)の丘はリオ・デ・ジャネイロ南西部に位置する観光スポット。麓の駅から登山電車で登る。この電車はリッゲンバッハ式と呼ばれるラック式登山電車の一種で2本のレールの中央に側壁で囲った歯型のレール(ラックレール、歯軌条)と、車軸の中心に設置した歯車(ピニオン)のかみ合わせにより、急斜面でも滑ることなく走行できる。かつて碓氷峠で運行されていたアブト式(Abt system)鉄道は、リッゲンバッハ式とは形式の異なる歯軌条を使用したラック式鉄道の一種。

標高709メートルの頂上に巨大なキリスト像が立っている。これは1931年に建造されたというからかなりのお年の像である。両手の幅は28メートル。高さは30メートル。表面は厳しい気候と風化に耐えるため滑石(Talc、ソープストーン、soapstone)で覆われている。ここまで飛んで来て羽根を休める鳥はいないらしく、鳥の糞などで汚されてはいない。登山電車の駅とキリスト像とは222段の階段で結ばれているが、エレベーターとエスカレーターも設置されている。

写真でも分かるようなこの山頂には常に雲が、霧がかかっていて快晴の空であることは珍しい。
我々は幸運にもその日に巡り合った。素晴らしい眺望だった。

ブラジルの人々にとってはこの巨大キリスト像の足元にある教会のほうが大切だ。
不思議なことに、1931年にブラジル建国100周年を記念して建てられたキリスト像建設工事では一人の殉難者が出なかったと言われている。
このブラジルの巨大土木建設工事では決まって多数の犠牲者が出ている。眼下の巨大海上橋の工事では毎日のように複数の犠牲者が出て、新聞報道に連日取り上げられ、遂には工事従事者になり手が無くて、記事差し止めにまで至ったことを考えると、現代の奇跡と称されて不思議は無い。