山陽立地・つれづれDEEP

10年にわたって書き散らかした事々を、この際一か所にまとめた

藩論を読みなおそう

PHP新書木村幸比古著「龍馬暗殺の謎」の巻末に第二海援隊を率いた長岡謙吉らにより明治元年12月に刊行された「藩論」の原文と説明文があった。140年たってもさして変わらない日本を感じた。「藩主」は「国会議員・政治家」に、「家臣」は「官僚」に置き換えて読んでも違和感は無かった。地方の「首長」や「議員」、「公務員」でも同じか。「天下り」に「わたり」に「公務員の再任制度」。役人天国に終止符を打て!

―およそ、諸藩の「国会議員」を見るにつけ、その多くは大名家の奥深い家庭に生まれ育ち、あたかもあたまに飾るかんざしの花や手のひらの上の珠のように、寵愛を一身に受けて成長する。だから大人になっても子供のように世の中のことにうとく、大事、小事ともわきまえない。なんの努力もせずして、祖先の財産、権力を受け継ぎ、大名となり、身には美しい衣服や着物をまとって冬の酷しさを知らず、人民の飢えと寒さに悩んでいることを知らない。日頃から、美しい妻や妾たちを、宴席にはべらし、歌舞の声が耳を楽しませ、何一つとして自分の思い通りにならないことはなく、道義風俗の乱れた末の世でも、なお歓楽を追及し、ついには楽しい人生をつづけたいため不老不死を鬼神や仙人に祈り妙薬を探し求めるというところまできている。藩の「官僚」の中でも、扶持の多い門閥に生まれた者は、このような大名とあまり変わらない。この「国会議員」にしてこの「官僚」ありというものである。こんなことであるから無能愚昧であり、汚職をしたりする「官僚」が、藩政を処理する職に就いているのが現状である。どうしてこんなことで富国強兵を達成することが望めようか。全く不可能としかいいようがない。―

(ブログー龍馬ひねもす よもすがら)引用