山陽立地・つれづれDEEP

10年にわたって書き散らかした事々を、この際一か所にまとめた

前立腺生検

 古人曰く、人間は口から肛門へと繋がつた一本の管であると。如何に高尚なことを考えようと、どんなに素晴らしい夢を観ようと。誠に素敵なハートの持ち主であろうと、人の心を震わせる音楽を奏でようと、そんなことに関係なく、ひとつ調子を崩すと、その時点から全く手に負えなくなるのが、悲しいかな己の体そのものです。
先般から忠告もあって、今罹っている軽い糖尿と高血圧検査のついでに腫瘍マーカーを診てもらったところ、前立腺の数値が高いという結果が出た。親父は胃癌、母親は子宮がんで亡くしている。がん体質は確り受け継いでいるのは確かだ。さっそく今井泌尿器科で専門医の診察を受けた。どうやら前立腺肥大らしい。かなり大きいねと一言。ガンセンターへの紹介書を書いてもらった。その際確認したことは、肥大でガンということも考えられる。ただし、この数値ならガンは早期発見の範疇で、最悪手術すれば命に別条はないと言う。多少の慰めも入っているに違いない。・・ことは既に自分でできる領域を越え、初対面の医師に運命を託さなければならないようだ。自分で出来る事は、診察・治療の節目での意思表示のみとなった。
 ところで検査・手術となると私はまるで意気地が無い。と言うより今までに病院に入院の経験がない。小学4年の8m転落事故の際も、即日自宅に帰っている。体にメスを入れたのは、4男が出来た後、パイプカットの手術をしたことぐらい。その時もガニ股で帰ってきました。
 今日の日に弘子ちゃんは友達と予てからの旅行へ出かけちゃった。一人で大丈夫かともぬかさない。薄情なもんですわ。おれがそんなことをすればどんなにお怒りになるやら。ひとりさびしく、行きつけの洋食屋(これが屋号)で、それでも美味しくいつものスジカレーを頂いて、生検へと向かう。なんだか冷や汗をかいているようで、血圧は180.平常は125ぐらいですとすかさず申告。できればこのまま帰りたい。・・ほんと意気地がありません。
 そんなこちらの都合などなんの係わりもなく、検査準備はドンドン進む。ハイ・下半身裸になって、ここに転んでとの指示。思わず麻酔の注射痛いですかなどと、子供のようなことを看護婦さんに聞いたりして。痛いですよアッケラカンと返事が返ってくる。うつ伏せにされて、局部麻酔注射完了。それが思ったほど痛くなかった。
少し気を良くして10分間。麻酔の効きを待つ。後は近藤有医師のテキパキとした処置が、カーテンの向こうから聞こえてくる。かーちゃんはこんな目に度々あってんだかとおもいを廻らす。女は強いな。
 津野さんお尻の穴小さいですね。痔かなにかしましたかとの声。いいえそんなことは有りませんと返事。
ああこれで私は心身ともにケツの穴の小さい男という烙印が押されたことになった。
 まるで大きなホッチキスを使かっているような音が数えて12回。その間身を固くして耐えるしか道は無い。
止血処理とかでタンポンを突っ込まれてしばし放置プレーだ。ズボンを穿く時に検査台を見ると生生しい血がかなり出ておりました。おおきなオムツを貰って一息つくが、肛門に残る違和感はかなりのものだ。
 これから歳を重ねていくに従い、これ以上のことが必ず待っているはず。こんなのは序の口であるはずが、かなりこたえます。診断所見は肥大ですな。50ccで中の上くらいです。うな重じゃあるまいし、並みでよかったのに。それにしても、おカマの気が知れない一日でありました。 次はガン宣告か肥大で経過を見ましょうという執行猶予か。どちらにしても楽な日々ガ待っている筈もない。同病相憐れむ人求む。