山陽立地・つれづれDEEP

10年にわたって書き散らかした事々を、この際一か所にまとめた

浄化槽3000軒

 この大貧乏時代、もちろん手を拱いていたわけではありません。
一日求人欄を見ていると協和という会社が求人。年齢不問・経験不問・営業とあった。
会社の場所も明石市江井が島とすぐ目と鼻のさきだ。なんの営業かと電話して尋ねると下水管直放に伴う工事の営業とか。ようするに下水管本管が通った地域の家の便所を浄化槽を廃止して直に下水管に流す工事を取ってこいということ。
しかも、最初の一月は研修期間として20万ほど支給するという。
仕事の内容よりも研修費支給に魅かれて早速面接にいきました。
ゴタゴタと片付かない事務所。便器やら何やら転がっている中で、最初はベテラン営業マンについて回って仕事を覚えろという。場所は主に加古川市市街地。
これがなかなかの仕事で、家々の浄化槽を見つけるのが最初にやる仕事。この浄化槽には必ず抜気の煙突があって、すぐにこの煙突を探せばいいことに気づく。
難しいのは見ず知らずのお家にピンポンと鳴らして話をきりだすこと。
ただでさえ人相が良くないのにと思いながら、ローラー作戦で訪ね歩く。
ほんと20万もらおると思えばなまじゃありません。浮世の風の冷たさを感じながら覗いて回った便所・浄化槽が3000軒は越しただろう。
お陰で、明石・加古川播磨町・稲見町の細かい所までの地図が頭に入っちゃいました。
結果、6月1日から8月31日までの3ヶ月間這いずりまわったけれど、どうもこの仕事にはなじめませんでした。
取った注文が3件。これでは歩合もたいしたものにはなりません。
営業日誌を見ると、貴崎町の電工会社の営業倉庫。両面道路4割という建売向き宅地総額8000万ほどがやっと成約をみている。
昼間便所ばかり覗いていた生活ともお別れして、やはり不動産仲介オンリーで精をだすことになった。