山陽立地・つれづれDEEP

10年にわたって書き散らかした事々を、この際一か所にまとめた

MUSIC・梁山泊・アジト

 9月29日午後、神戸市垂水のとある民家を訪れた。
外見はかなりくたびれたどこにでもある様子ながら、中に入ってみるとグランドピアノはあるはプロユースの録音機材はあるは、さながらスタジオを民家のダイニングに無理やり押し込んだとんでもない光景を目にする。
それぞれに収録マイクが用意され、ヘッドフォーンのラインが床を這う。
キッチンにはボーカル用のマイクスタンド。もちろんピアノの横にはシンセサイザー
この狭い空間に、PET・SAX・BONEの3管と2ギター、ウッドベース。御近所から苦情でませんかが最初の質問となりました。
いえいえ、音出しが始まると、両隣から今在宅と分かり、いろいろ頂き物が届くんですという返事だ。
そんな信じられない不思議BOXに放り込まれて約5時間。途中短い休憩があるものの、その間も旧交を温めるのに余念がありません。
このアジトあるいはMUSIC梁山泊の主宰者こそ、36年前明石駅前でオープンしたMUSIC・INN ボサリオの2代目ハウスピアノであった O君。当時若干16・7歳ではなかったか。
あれから30余年、顔のサイズこそ一回り大きくはなったが、相変わらずのテンパーで、語り口もそのまま。
変わらへんなーと思わず播州弁が飛び出した。
消息は色々と耳にしていて、アレンジャーとしての天分を発揮して東京で活躍とずっと思いこんでおりました。
その彼が3年ほどまえから、地元神戸でこのアジトを構え友人ミュウジシャンが集うなか、集まった凸凹を均すことなく、在るがままを受け入れて。 実は此処からが彼ならではの仕掛けがあって、自由闊達・変幻自在のアレンジを施し、それぞれのレベルの一つか二つ上のレベルで譜面をオリジナルに書きあげる。
ここで終わっているなら、探せばここまではやっている御仁もござるかも知れませんが、彼はこのネタ曲を本格録音することによって、演奏者のテンションを高め、なお出来上がった曲をそれぞれに配り、ガマの油効果を求めるわけです。
案外、演奏者は葺きっぱなし、歌いっぱなしが多くて、出してしまった音に対する責任感が薄い。
そんな中、このMD録音を突きつけられれば、いろいろ考えださざるを得なくなります。
いや、反省のないプレーヤーは確実に姿を消してゆく。
事実、今回我が弟のトロンボーンが格段に上達しているのに驚かされた。
最初の感想は、邪魔にならないトロンボーンになったなという点。
この邪魔にならないは、実はとっても大切であります。
3管の残り2人は、プロもいいとこで、このアジトでないとご一緒出来るようなレベルの方ではありません。
そんな2人に挟まれて邪魔にならないとは、立派なボーンと評価していいんだ。
PETはその昔、トランペット・メルヘンでお世話になった片岡学師匠。日本のマイルスと僕は尊敬しています。