山陽立地・つれづれDEEP

10年にわたって書き散らかした事々を、この際一か所にまとめた

ダイエー屋上ビアガーデン③ブレークの兆し

そのころ、明石にもビアガーデンなるものは既にありました。明石デパートの屋上の鳥かごのような小規模のが一つと、ダイエーに負けじと出店していたフタギ(現在のジャスコ)のある錦江ビルの屋上に400席からの大箱が一つ。
このジャスコ屋上ビアガーデンは8Fのレストラン直営で料理もそこそこの様子。
一方、わがダイエー屋上ビアガーデンといえば、ほんと的屋もびっくりするぐらいの、簡単な品ぞろえと、ハゲハゲの椅子・テーブルが淡路島側につつましく200席ほど並んでいるに過ぎないお粗末さ。
この椅子・テーブルのひどさに見かねて、親父の親友の看板屋の社長が、こてこてにペンキを塗りあげて、なんとか格好をつけてくれました。
屋上に上がってきたお客さんは、全員が眺めの良い南側に席をとり、もっぱら眺めを楽しんでいる様子。
しかし、そこはエンターティンメント重視の本領を発揮して、冷房用のクーリングタワーを囲った大フェンスを背にして、かなり高い目の舞台を設えた。照明の行灯も多数ぶら下げてちょいとした屋外ステージでした。
音響装置もYAMAHAに勤め始めていた弟・啓三に頼んで、プロユースのPA装置を用意した。
そう、一年目はアトラクションといっても、地元の牛乳配達の兄ちゃんが結成していたカントリーバンドと、素人ながら布施明を歌わせたらチョイト聞けるギター一本での弾き語りでお茶を濁した。
そんなアンバランスな体制で、5月・6月と月日は経ってゆく。エレベーター前のルームには親父が陣取って、手作りのチケットを、慣れない手つきで売ってくれた。
6月などは、梅雨のあいだ、今日も明日も雨に降られて休業が続く。
ところが、7月に入り、本格的夏の訪れを想わせる暑さがやってくる頃から、やけに予約の電話が鳴り出した。
看板にも、新聞広告にもダイエー屋上ビアガーデンと大書してあるもんだから、後から聞いた話だが、ダイエー明石店に予約の電話が殺到したらしい。そして親切にも電話交換手のお姉さまがたが、ブラジル直営で予約電話の番号を教えてくれていたらしい。そして7月第3金曜日がやってきた。