山陽立地・つれづれDEEP

10年にわたって書き散らかした事々を、この際一か所にまとめた

クリチバの奇跡

サンパウロからクリチバまで空路1時間。
天気睛朗にして窓から見下ろすブラジルの大地の様は見飽きることが無い。
ところで、中村矗氏が世界的名声を得るに至ったクリチバ市の公園都市計画は、氏の言葉を借りれば当時の有能な市長のアイディアを実現しただけと仰るが、なかなか言うは易く行うは難しで、氏の誠実と勤勉と忍耐を以て初めて出来たものであることは現地で実感した。
壮大な、とはいえ予算もない中、工夫を凝らしてブラジル第4番の都市を造り上げた。
街中に点在する公園の市民利用の高さと、喜々として遊ぶ様子を目にして、公園の効用が此処まで高まるものかと驚く。
そんな中でも、一番の驚きは、市中に張り巡らされた路上バス路線の充実と独自のシステムだ。
180万都市であれば、普通に地下鉄建設を考えるが、財政上、そんなコストを懸けることは出来ない。そこで、道路のど真ん中に2車線のバス専用路を造った。ちょうど、クリチバに工場があったボルボを半ば強制して2連の専用バスを開発。待ち合いには透明素材で作ったチューブ型の停留所を設置して、料金も定額とした。
これで、開発費は地下鉄の100分の1.運営費も10分の1となって黒字を保っている。
バスと停留ドームの接続も工夫が凝らされていて乗客の安全は保たれ、雨にぬれることもない。
この様な画期的な交通手段が取り入れられたことこそクリチバの奇跡と呼ぶべきではないのかな。